Tool Search Tool(TST)は、LLM「Claude」を提供する Anthropic が開発した技術です。
LLMに関数を渡して処理を実行させる仕組みとして tool call があります。TSTはAIエージェントの精度向上のための応用版です。
システム全体が大規模になってくると、LLMに渡すツールの数が数十個~百個を超えることがあります。
これらすべてのツール情報をメインエージェントのLLMに渡してしまうと、コンテキスト内の情報量が増えすぎて、精度が低下します。
精度が低下するというのは、ツールを使う場面でどのツールを使用するかを誤るだけではなく、全体の精度低下にもつながります。
これは、沢山のツールのテキストがエージェントに注入されることで、タスク全体のゴールのために記載されているプロンプトのトークン比率が下がることから、ゴールの理解が浅くなることで発生します。
この問題を解決するために、TSTでは、大量のツール情報はサブエージェント側で保持し、メインエージェントにはその時点で必要なツールだけを渡す
という方法でメインエージェントの保持するテキストが増えることを回避します。
これにより、メインエージェントは常に大量の関数定義や説明を抱え込む必要がなくなり、タスク全体の文脈や重要な判断に集中できるようになります。
個人的にこの考え方は、tool call(関数)に限らず、MCP、A2A、プロンプトなどの、メインエージェントに渡す情報全般に対して有効だと思います。
メインエージェントには細部まで知らせず、タスクの進行に応じて必要な情報を段階的に取得していくことが、精度向上に繋がります。
Anthropicはエージェント開発に関する知見が、他のLLMを開発している企業と比べて一歩先を行っていると感じます。
Claudeを用いたAIエージェントシステムである Claude Codeの機能を学ぶと、様々な機能を通じて、メインエージェントに対するコンテキストの部分的開示が実装されており、勉強になります。
